亮太 ryota のブログ

パン職人でありながらYouTubeに動画を投稿する変わり者の日々を綴るアーカイブ。

感性は擦れて捻くれて磨かれる 大人になって分かる「金色のガッシュ」の素晴らしさ

 

子供の頃はウルトラマン仮面ライダーが好きでした。明確な正義と悪が対立して最後に正義が勝つ、そんな勧善懲悪が幼い子供には分かりやすく打って付けなんでしょうね。

 

憧れる存在やええやんと思うキャラの変動

 

子供の頃は敵キャラなんて眼中になかった。

特撮でも漫画でもアニメでも、好きになるのは正義の味方でヒーローがよりヒーローらしい作品が好きでした。

 

子供の頃熱中していた金色のガッシュという漫画があります。主人公はガッシュ・ベルという魔物の小さな男の子で、1000年に1度魔界の王を決める戦いに記憶を失った状態で参加し何も分からないままに他の魔物に襲われながらも必死に生き残るというストーリー。

戦闘のパートと日常のパートがあり、日常の方ではギャグが目立つものの戦闘ではそれが別作品のように激しく胸を締め付ける訴えのような物があります。

この漫画は大人になって擦れて捻くれた僕にも勿論響く思い出の作品ですが、それを度外視するとやはり勧善懲悪で汚く爛れた大人にはどこか受け付けない王道ファンタジーである事も確かです。

 

 

子供の頃に読んでいたこの漫画を僕は大人になった今改めて、自分で稼いだ金を惜しげも無く叩いて全巻セットをまとめ買いしました。

 

ガッシュの魅力は勿論相変わらずで見た目通り子供っぽくて我儘でアホな感じは懐かしさと愛らしさに癒されます。

そして大人になった今やからこそ分かる端役や脇役、果ては悪役に至るあらゆる登場人物が持つ重要性にも気付くのです。ガッシュを引き立てたり助けたり、壁となり行く手を阻み圧倒して追い込んだり。

魔界の王を決める為の魔物同士の一騎討ち、という長く平坦な物語をより輝かせる事が出来るのはそうした主人公以外の存在で成り立っているのが良く分かりました。

 

バリーやゾフィス、ゼオンなど強敵は多いものの、当時の僕はそんな奴らよりガッシュがどう倒すのかにしか興味がありませんでした。

改めて読んでみると、悪役が一体どういう行動原理で動いていて如何に主人公を強く補正しているのかが気になるようになりました。

 

注目したい悪役の性(さが)

 

ガッシュ・ベルの双子の兄にして作中トップクラスに入る強さを誇るゼオン・ベル。

幼少期から英才教育を受け虐待同然の過酷な運命を辿り、幼くして雷帝という異名まで付いた完全上位互換の存在です。

呪文はガッシュと同じ雷系の能力ながら、威力は段違いに高い。身体能力も高く体格差を超越する肉弾戦も素晴らしい。その上魔力を使った超能力と幅広い。

子供ながらにこんな奴どう倒すねん? と疑問を抱いていた存在です。その強さが憧れになっていたのでしょう。

 

物語終盤ガッシュゼオンはぶつかります。

ガッシュは様々な点でゼオンに劣った性能でしたが、唯一彼を凌ぐ能力として物凄く強い呪文を親より引き継いでいます。

この力は魔界を滅ぼす脅威の1つとして他の魔物に注目される程のもので、ガッシュ自身も扱い切れていない状況でした。

パートナーである清麿の瀕死からの覚醒で、物語は一気に加速します。新たな呪文とそれまでの能力の格上げで、遠く及ばない存在であったゼオンと正面から対峙する展開になります。

お互いの出せる全てを出し切って2人はぶつかりあい、ゼオンガッシュに眠る孤独や苦痛を垣間見るのです。

 

自分だけが、この世でただ1人過酷な運命に翻弄された。

そう思い込んでいたゼオンはそこで初めて知る訳です。

 

悟った表情で最期のぶつかり合いが始まり、ガッシュの奥底にある強大な力は完全となりゼオンを打ち砕きました。

 

魔界の王を決める戦いに敗れると魔界へ強制送還されます。

魔物とパートナーにとって今生の別れとなる場面、ゼオンガッシュに今までの行いを詫びました。自分が間違っていた、と。

 

憎しみに由来する強さは周りが見えなくなるだけで、そこからは何も生まれないんです。

 

ガッシュゼオンは涙を流しながら和解し、パートナーへの配慮を見せて魔界へと帰っていきました。

 

この話を聞くだけやと情に訴えかける勧善懲悪の簡単な話になってしまいますが、それまでのゼオンを見てきた僕にとっては考えられない成長なんです。

魔界の王を決める戦いに臨む魔物とはいえ、年端もいかない子供達な事に変わりはなくそういった成長譚としての一面が金色のガッシュにはあると思います。

 

残念ながらアニメ版ではそこら辺の事情には踏み込まれず、悪役が悪役してる感じで終わってしまいます。

是非初めて知ったという方には、漫画版をオススメしたいと思います。

 

おわりに

 

この記事は無性に書きたくなって、構想も練らず思うがままに書き殴りました。

 

僕の多々ある趣味の1つである漫画。今後はそれを語り尽くしたいなと思っております。